Webサービスの企画において満たすべき"投稿/消費モチベーション"という概念
CGM(Consumer Generated Media:消費者生成メディア)系のWebサービスには、コンテンツを投稿する人と消費する人がいる。
例えば、ブログで言うと
- 投稿者:ブログの管理者
- 消費者:ブログの閲覧者
である。
このようなCGM系のWebサービスをヒットさせるには、投稿者と消費者の両方を確保しなければならない。
この確保のために重要な概念が投稿モチベーションと消費モチベーションだ。
- 投稿モチベーション:そのコンテンツを投稿したいと思う動機付け
- 消費モチベーション:そのコンテンツを消費したいと思う動機付け
この概念について以下に述べる。
既存サービスの例
まず、既存のCGM系のWebサービスにおいては、投稿/消費モチベーションがどのように成立しているのか。 僕の独自判断だが、以下のように分類できると思う。
Webサービス名 | 投稿モチベーション | 消費モチベーション |
---|---|---|
自分の近況を知ってほしい | 友達の近況を知りたい | |
YouTube | 動画を見てほしい | 動画を見たい |
Cookpad | レシピを投稿したい | レシピを見たい |
はてなブックマーク | 記事をブックマークしたい | 人気の記事を見たい |
ボケて | ボケたい | 面白いものを見たい |
これらサービスは、投稿モチベーションと消費モチベーションの両方が成り立っていることが分かる。
両方が必要な理由
Facebookについて、もし人々に「友達の近況を知りたい」というニーズ(消費モチベーション)がなければ、Facebookはここまで普及しなかっただろう。 「自分の近況を知ってほしい」という投稿者側の一方的なニーズでは、Facebookというサービスは成り立たない。
また、Cookpadについて、「レシピを見たい」という消費モチベーションは理解できると思う。 だが、なぜ投稿者は「レシピを投稿したい」と思うのだろうか?
Cookpadの凄いところは、「レシピを投稿する」という作業の中につくれぽ(レシピを見て"作ったよ"と報告すること)というコミュニケーションの仕組みを取り入れたことだ。 これによって消費モチベーションだけでなく投稿モチベーションも醸成できている。
このように、投稿/消費モチベーションの両方を満たす必要がある。
考え方
投稿モチベーションについて、多くのWebサービスに共通している点として以下がある。
- 自己顕示欲を満たしたい
- 帰属意識を感じたい
- (ユーティリティとして)便利だ
例えばFacebookの投稿モチベーションには、「自分のリアルは充実しているんだ」という自己顕示欲を満たしたいという感情が根底にあると思う。 Cookpadも、「多くの人にレシピを評価されたい」という自己顕示欲が少なからずあるだろう。 もちろん、はてなブックマークのように投稿者にとって便利だから使うというものもある。
投稿モチベーションの考え方として、ユーザのどのような欲求を満たすのかという点を考えれば良い。
投稿モチベーションについては、マズローの欲求について理解していると考えやすい。
消費モチベーションについては、純粋に投稿された情報が多くのユーザにとってニーズがあるかどうかを考えればよいだろう。
おわりに
良いアイデアを思い付いたと思っても、そのアイデアがどちらか一方のモチベーションしか満たしていないことも多い。
アイデアをWebサービスとして昇華させる前に、投稿モチベーションと消費モチベーションの両方がきちんと満たせているかどうか客観的に考えるべきだ。 そうすれば、より良いサービスとしてリリースできることだろう。