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レビュー:Webサービスのつくり方 ――「新しい」を生み出すための33のエッセイ

Amazonで予約していた本が届いた&読了したので早速レビュー。

Webサービスのつくり方 ~「新しい」を生み出すための33のエッセイ (Software Design plus)

Webサービスのつくり方 ~「新しい」を生み出すための33のエッセイ (Software Design plus)

読了後の本書の印象は、自分で企画して自分でコードを書く人にとっては必読書、というところ。 企画・開発・運用と、Webサービス制作について全体的に俯瞰できる。

章立て

本書の章立ては以下の通り。 (ページのボリュームで言うと4.開発が半分ほどを占めている)

  1. 心構えと下準備
  2. 企画
  3. 設計
  4. 開発
  5. プロモーションと運用

各章の感想

1. 心構えと下準備

"プログラムを書く"という行為について、筆者の「なければ作る」という思想を思い知らされた。

筆者は本書をDropbox+Markdownで執筆しているが、編集者とのやり取りのためだけに"Dropbox上のMarkdownファイルをHTML表示するアプリ"を実際に作っちゃっている。

こういった柔軟さは確かに重要だと思う。

2. 企画

企画づくりの流れとして、以下の7つがあると述べている。

  1. 哲学
  2. アイデア
  3. テーマ
  4. コンセプト
  5. 名前
  6. デザイン
  7. 内部設計

詳細については本書に書かれているが、僕が言いたいのはこの7つはすべての企画者が知っておくべきだということ。

特に学生でWebサービスやスマホアプリを作ろうという人にはこの部分だけでも読んでほしい、それくらいに価値のある内容だと思う。

また、Webサービスをつくる上での5つのリスクについても書かれている。 この内容についても、あらかじめ考慮した上で企画すべきだと思う。

書かれている内容すべてを実践してももちろん良いし、自分なりに体系化するのもまた価値があって良いと思った。

3. 設計

設計について、ユースケースとしてWebサービスの機能を明示することの大切さを改めて知った。

僕は普段決まった方法で機能を明示化していなかったので、この機会にしっかりユースケースを書こうと思う。

4. 開発

この章では、複数のアプリケーションの開発方法についてPerlコードを交えて説明してある。

また、テストコードを最小構成で解説してあるので、テストの知識がない人も理解が早まると思う。

5. プロモーションと運用

プロモーションについて、各メディアへのプレスリリースの打ち方がそのまま参考にできるレベルだと思う。 多くのWebサービスをリリースしてきた筆者の方法なので、ぜひ参考にしたい。

総括

本書の読み進め方としては、「用語が気になる→他の書籍で勉強する」という形になると思う。 (体系化して解説している本ではないので注意が必要)

ただ、Webサービス制作の全体を俯瞰できる本としては、とても良い本だと思った。 自分で企画から開発、プロモーションや運用をやる(やりたい)人にとっては必読書と言ってもいいと思う。

出版社のページでは、以下のような方にオススメしている。 該当した方はぜひ。

  • Webサービスを自分で作ってみたい方
  • スタートアップを考えている方
  • ソフトウェアエンジニア,デザイナー,ディレクター
  • 情報系の学生

気になったところ

  • 4.開発に関する内容が限定的過ぎて、開発手法としての汎用性が低い
  • 企画に関する内容が思っていたより少なく(約15ページ)、開発がほとんど(約80ページ)

おわりに

本書を読んでいて、プログラムを初めて書いた10年前の頃の気持ちを思い出した。 当時は、確かにプログラムが動いただけで感動していた。

本書はよりWebサービス制作が楽しくなる本だと思うので、読んでみてはどうだろうか。

Webサービスのつくり方 ~「新しい」を生み出すための33のエッセイ (Software Design plus)

Webサービスのつくり方 ~「新しい」を生み出すための33のエッセイ (Software Design plus)