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エンジニア兼プロデューサーがWebサービス制作について考えるブログ

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かつて流行していた"ランキングサイト"を総括してみる

かつて──と言ってもほんの5年程前のことだけど、ランキングサイトというWebサービス形態が流行っていた。

ランキングサイトの仕組み

知らない人のためにランキングサイトの仕組みを簡単に説明すると、

  1. 自身のサイト内に、識別子を含んだ投票リンク(ランキングサイトへの特別なリンク)を張る
  2. サイト閲覧者が投票リンク経由でランキングサイトに遷移した場合、投票数が加算される
  3. 定期的に(あるいはリアルタイムで)投票数を集計し、ランキングサイト上に投票数の高い順に掲載される

という仕組み。

投票リンクとは、例えば以下のような感じ。 id=12345が識別子となり、自分のサイトが投票される。

http://www.example.com/?id=12345

ランキングサイトというWebサービス形態の特長として、

  • ランキングサイトはサイト登録者が勝手に自身へのリンクを張ってくれ、
  • ランキングサイト登録者はランキングサイトからアクセス数という恩恵を受けることができ、
  • ランキングサイト閲覧者は特定カテゴリに関する良質なサイトのみを閲覧することができる

という、Win-Win-Winな関係を構築できる。

それとは別に、当時の僕の個人的な所感としては、

ランキングサイト登録者同士で競ったり、交流したり……という、単純なアクセス数獲得以外の要素が機能していた

とも思っていた。

ランキングサイトの現在

かれこれ7〜8年程前になるが、僕はWebサイトのテンプレートを制作・配布していた時期があり、僕もまた以下のようなランキングサイトに登録していた。

当時はブログやソーシャルメディアは主流ではなく、そのためWebサイトのテンプレートも需要が高かった。 中堅レベルに位置していた僕の個人サイトでも、ランキングサイトからの流入だけで2,000PV/日ほどあった。

だが、現在のこれらランキングサイトには、もはや昔ほどの活発さは見られない。

ランキングサイト衰退の原因

ランキングサイトが衰退した原因として、以下が考えられると思う。

1. フォローの仕組みが確立された

近年、ランキングサイトへ行かずとも特定のサイトの更新情報を取得できるようになった。

代表的なプラットフォームとしてTwitterがあるが、更新情報をフォローしたいサイトがTwitterを利用していれば、容易にこれが実現できる。 サイト管理者としても、Twitterさえ利用すれば一定のアクセスを確保できるようになった。

2. 「応援の声」を直接届けられるようになった

これもTwitterに寄るところが大きいが、サイト閲覧者がサイト運営者に直接声を届けられるようになった。

ランキングサイトというWebサービス形態において、サイト閲覧者がサイトを投票する動機の中には、もちろん

そのサイトを応援したい

という閲覧者自身の感情によるところがある。

これがTwitter等他の手段によって実現できるようになったため、投票という行為が必要なくなったと考えられる。

3. ランキングサイトが不要になった

これは前述の1-2を踏襲した意見ではない

冒頭で紹介した0574 web site rankingsozai-Rもそうだが、ランキングサイトの多くはWeb制作に関する素材配布サイトか、あるいはブログだ。

素材配布サイトについて、数年前までは需要は高かったが、近年ブログやソーシャルメディアが普及しており、自分でWebサイトを制作する個人が少なくなってきている。 このため、素材配布サイトに関するランキングサイトの需要自体が低下していると考えられる。

(「ブログに関するランキングサイトはどうなのか」と問われると、もちろん多く現存しているが、スパムサイトや業者等の温床に成り下がっている感がある)

以上をまとめると、ランキングサイトが衰退した原因は

  • 表現者側・受信者側ともに、より個人に焦点が当たる仕組みが確立されたから
  • かつてランキングサイトを賑わわせていたサイト自体の需要がそもそもなくなったから

だと考えられる。

おわりに

僕個人としては、かつてランキングサイトを利用していたということもあり、その仕組み自体はとても好きだ。

現状はスパムサイトや業者等が蔓延っている気がするけど、例えばFacebook認証等を使えば、新しい形のランキングサイトが生まれるんじゃないかなぁ。